最高裁判所第二小法廷 昭和36年(し)22号 決定 1961年6月07日
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の理由は、別紙「特別抗告申立書」と題する書面記載のとおりである。
刑訴三六二条にいわゆる「責に帰することができない事由」とは、上訴不能の事由が上訴権者またはその代人の故意または過失にもとずかないことをいうものであり(昭和三一年七月四日第二小法廷決定、刑集一〇巻七号一〇一五頁参照)、いやしくも代人の故意または過失にもとずき上訴期間を徒過したときは、たとえ自己に故意または過失がなくとも上訴権回復の請求は許されないものと解すべきであり、しかも右刑訴三六二条が代人の過失によつて上訴期間を徒過した場合上訴権回復の請求権がないものとしたのは違憲でないことは、昭和二五年四月二一日大法廷決定(刑集四巻四号六七五頁)の趣旨に徴し明らかであるから、論旨は理由がない。よつて刑訴四三四条、四二六条一項により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)